ユーロ/円相場は、11月13日の100.33円をボトムに、足元では103円台後半まで切り返す展開になっている。ユーロ/ドル相場には特に目立った動きがみられず、ユーロ高というよりも円安圧力が強くなっている。欧州債務問題の進展期待もユーロにポジティブだが、それ以上に円サイドの動向が注目された地合と化している。
自民党は19日、衆院選の政権公約に「日銀法改正の検討」を明記する方針を固めた。脱デフレに向けて政府と日銀で物価安定目標を共有する姿勢を明確化し、「大胆な金融緩和」に向けての動きを一段と活発化させている。総選挙で金融政策を争点化するのは異例だが、自民党中心の政権に移行すれば、日銀の金融緩和圧力が強まるのは必至との見方が、円売り圧力に直結している。こうした地合が続けば、ユーロ/円相場の下落余地は限定されよう。ただ、民主党からは早くも批判の声が挙がっており、白川日銀総裁などからも金融緩和をけん制する発言が見られると、円安圧力にブレーキが掛かる可能性はある。
欧州債務問題に関しては、20日のユーロ圏財務相会合でギリシャ向け支援融資の継続が決定される見通し。先週にはギリシャの財政目標達成次期を2年先送りすることでも合意しており、少なくとも当面の危機蒸し返しはない模様。ただ、欧州経済指標は景気減速を示しており、債務問題の解決先送りとの見方が強まれば、ユーロ/円相場の上値が重くなる可能性はある。実際、米格付け会社ムーディーズは、フランス国債の格付けを最上級の「Aaa」から「Aa1」に引き下げ、見通しも「ネガティブ」としている。これを受けてのパニック的なユーロ売りは見られないが、欧州実体経済の動向には引き続き注意が必要である。基本的には円サイド主導でユーロ高・円安圧力が強まり易い地合になっているが、それ程地合が強い訳ではない。
今後1週間の予想レンジは、102.75~105.00円。